日本のウクライナ支援報道が的外れだったのはドラクエかジャンプ漫画だったから

「ロシアのプーチンは狂人」と快楽殺人者的に『悪魔化』する論法は東野さん、小泉さん、池内さんに共通していますね。口裏を合わせているんじゃないかと思いたくなります。


こういうと「ロシアを正当化する親露派の工作員だ」とか池内さんあたりにレッテル貼りされそうですけど、別に私は「ロシアは正義の軍隊」と言いたいわけではなく「虐殺するにもコストが掛かるからやるからには何らかの動機がある」と言いたいです。


それは対処の仕方を間違えば彼らはより決意を固め行動をエスカレートさせる可能性の方が高いからです。何より賛同する事と動機を分析してその対策を練る事は別物です。この世の全ての問題は動機が分からなければ対策は練れない。


この点、小泉さんや細谷さんなんか巧みに予防線を張っていて「専門家の我々でも分からないのに素人のお前らにプーチンが何を考えているか分かるわけない」「庶民は半額寿司でも食ってりゃ幸せだろ」と議論を封鎖するわけです。


この議論の封鎖は先に書いた池内さんの「親露派工作員だ」のレッテル貼り・言論封鎖と併せて見ると非常に巧妙ですね。大日本帝国下の抑圧と同じものを感じます。

要するに「お前らはモノを考えずに俺たち学者に賛成しろ」って話なんですかね?


しかも彼等の巧妙な所は同時に即時停戦を唱える学者には老害、ロシア贔屓、新興宗教との繋がりを強調したりとレッテル貼りをするわけです。二つの使い分けがお見事なものです。
なおテレビによく呼ばれるのは「俺たち学者様」の側です。


ここには「学者は立派な存在で素人は口を出すなと言いながら、俺たちと違う主張をする名誉教授達はその限りにあらず」というまるで紅衛兵ポルポト派みたいな特権意識を私を感じざるを得ませんがこれを読まれている貴方はどうでしょうか?


なので、テレビが主な情報源の国民は「そうか、即時停戦はロシアを利する、日本はウクライナに軍事支援をする、こういう意見こそがチテキでアカデミックなインテリなんだ」と思ってしまうわけです。
この構造はまるで見事な手品を見ているみたいじゃ無いですかね?


とは言え、少し頭使う人は「学者なんて生き物はかつては社会主義を礼賛していたりしてよく間違える職業だ」という目で見てます。なので流石に当初喧伝していたような勇ましい戦果が上がってない時点で少し疑いの目を持って来たことでしょう。


他には常日頃から公明正大を心掛けている人は「まあ、両方の言い分を聞かないと分からないな」と中立国(インドや中東のメディア)を見たりして日本のテレビで言っている事は偏っている事を知るわけです。

 

ここで話を最初の『悪魔化』に戻します。
プーチンを『悪魔化』した延長にある議論は「ウクライナの次は日本だぞ」という謎の予言(笑)です。
そもそもNATO拡大、マイダン革命、ミンスク合意と言った過去のいざこざがあってのプーチンの侵攻なのにその議論を割愛するわけですね(おそらくわざと)。


少しでもその議論をしようとすると「ロシアのプロパガンダを代弁してる」とまた議論の封鎖に来るわけです。繰り返しになりますがプーチンの主張を正当化する事と彼らの考えを知る事は別物です。これについては佐藤優さんが正しい。


例えば日本国内で殺人事件があった時には当然に動機と背景の分析をするわけです。それは司法レベルでも民間の報道レベルでもそうです。「殺人者の言う事なんか聞く必要がない、お前は犯罪者の味方をするのか」とはならないし、法治国家でそれはあってはならないです。


何故プーチンの動機を分析させないのか? 目的は幾つかありそうですが一つ目は「ウクライナに武器支援をする事が日本の国益になる」というロジックが構築できないからではないでしょうか?
つまり中立で居ることを許さないわけです、この時点で「プロパガンダ」なのはどちらの側なのでしょうか?


そもそもロシアが日本を侵攻するメリットって何ですか?と聞きたくなります。同じリソースを使ってのメリットで言えばバイカル湖をめぐる争いで中国を排除した方がロシアにはメリット無いですかね?
https://www.afpbb.com/articles/-/3218549?cx_amp=all&act=all&_gl=1*bpj2y6*_ga*WkN2dmVsODlkU3loUDRBUzZhX0xaYzlHblBPWHJmTDVoUXlpR3dKdXBGRkFlSG5WZk9STU5VaFNORUFTLXA2OA..*_ga_E7KXCKSWLG*MTcwNjkzOTkzOC4xLjAuMTcwNjkzOTk2NS4wLjAuMA..

 

私の認識では北海道の主要産業は観光業で、農業に関して言えば他の先進国と同様に中央からの補助金で成り立っているのですが(間違っていたら申し訳ありません)。外国が武力で支配して観光業って継続できます?
私はウイグル中国共産党の弾圧下にあるという理解ですが観光地として成功しているのでしょうか?


プーチンが北海道に侵攻するとしたら「このままでは北海道にミサイルが配備されてロシアの国防が脅かされる」と判断した時ではないのでしょうか? NATOの東方拡大で感じた危機感もそうであったのではないでしょうか?


二つ目は「勇者ゼレンスキーが悪魔のプーチンを倒したらロシアは綺麗なジャイアンに転生して世界は昔みたいにお花畑で蝶が舞い妖精が泉の側でハープを奏でる天国のような世界になる、だから今は犠牲や損失に目をつぶれ」と言いたいのでしょう。よく出てくる「国際秩序」云々の論法がこれです。


第二次世界大戦後の国際秩序について言えば、終戦後すぐに代理戦争が始まり、また石油権益を巡った争いは続発し、全く綺麗な世界ではありませんでした。ただ単に核の登場で大国同士が戦争しなくなったのと同時に旧植民地国が力を付けただけの話です。


テレビ学者さんの話を聞いているとまるで第二次世界大戦が終わった瞬間に世界には秩序が誕生し、北朝鮮やイラン等の例外を除いてみんながそれを守って織り目正しく生きて来たかのように錯覚しそうになりますがそんな事はありません。


枚挙に暇がありませんが最も分かりやすい例はベトナム戦争イラク戦争でしょう。でもこの話はさせない。イラク戦争に関して言えば前にテレビ学者さんの発言を見たら「あれは酷かった(はい、この話おしまい)」みたいな感じでした。


さて、ここで彼等がどれだけ偏っているかを証明したいと思います。ウクライナ侵攻が始まって以降、「トンキン湾事件」「ソンミ村虐殺事件」「オペレーション・ベビーリフト」「ナイラ証言」「アブグレイブ刑務所の捕虜虐待」等のキーワードを彼等から聞いた人は存在しますかね? で、国際秩序って何?


こう言うと細谷さんあたりは「他にどんな例があろうがロシアの侵攻が正当化されるわけではない、スピード違反かよ」みたいに言い出すわけですが、正当化なんてしていない。
上で書いたように「第二次世界大戦後だって秩序なんてものは不完全だった」という話をしているんです。


また安保理での拒否権の濫発について言えばソ連(ロシア)に次いで多いのはアメリカです。なのにテレビ学者さん達は「このままでは安保理が機能しなくなる」みたいな話をするわけですが、まあそんなのは昔からです。


そもそもを言えば「常任理事国」という存在がもう既に不公平なわけですから出来た瞬間から安保理はそんなものだったという方が正直で誠実です。
まるで「アンポリ」という崇高な正義の騎士団達が集う円卓会議みたいなものがあったかのように錯覚しそうになりますが出来た瞬間から一貫して大国のエゴの産物です。


「コクサイチツジョ」やら「アンポリ」やらのまるでRPGファンタジー小説に出てくるような美しい世界があった所にある日突然魔王プーチンが現れて世界征服を企んでいるみたいな世界…
そんなストーリーが現実世界にあるわけないでしょう。


そもそもプーチンが死んだらロシア国民が洗脳から目を覚まして「ハ!? オレタチ ハ ナニ ヲ シテイタンダ」となるとかそんな幻想にみんな取り憑かれていないですかね? 
むしろプーチンが死んだらもっと訳の分からないのが大統領になって交渉の余地がなくなるという方が可能性高く無いですか?


国際秩序なんてものは第二次世界大戦後も不完全だったという話をここまでしました。
出来た瞬間から不完全だったものが日本が頑張った所で完全なものに昇華するとかあり得ますかね?


具体的に言えば日本が献身的にウクライナに武器やら弾薬を供与したらそれが契機となって世界の国々が「日本よ、感動をありがとう。私達は大切な物を教えてもらった。よし国際秩序を取り戻すぞ」とかなると思います? ジャンプ漫画ですか?


なので日本が武器やら弾薬やらを出す意味が全く分からないです。むしろロシア国民が「こいつら厄介だな、攻めないと背後を突かれてうちの国が危ないわ」となる可能性に加えて、いざ有事になったら日本には弾薬が足りて無いっていう可能性の方が高く無いですかね?


こう言うと「日本が自国の事しか考えないと日本が困った時にも世界は助けてくれないぞ」とまた脅されるわけです。
少し世間話をしたいと思いますが我々が日常を買い物をする時にも「買わないとこうなりますよ!」みたいな商品はボッタクリが多いと言うことは知っておいて損は無いと思います。


たまたま見つけた佐世保警察の「脅迫商法」のしおりがよく出来ているので貼っておきます。
ここの注意書きを一度読んでください。
https://www.police.pref.nagasaki.jp/police/wp-content/uploads/2015/03/42003328e49ef334ea3c4e4284b3a182.pdf

 

国際社会とやらに助けられた先例がウクライナにあるので日本がどうなるか思考実験してみたいと思います。
元芸人が強権的な国のトップになり、成年男子の国外脱出を許されず、徴兵は強要され、野党は弾圧される。けどNATO軍は参戦しない。住民は火炎瓶で抵抗。
日本もウクライナみたいに「助けられたら」こうなるんじゃ無いですかね? 違うならどう違うのか教えて欲しいものです。


そもそもNATO軍はなぜ直接の参戦をしないのですか? それをしないで「日本は核の恐れに屈するな」っておかしくないですか? 世界最強国家のアメリカが核を恐れて参戦しないのに日本が率先して「俺たちは核なんか怖くねーぜ」って言う必要あります?


いつしか言論封鎖にあいテレビに出なくなりましたが日露関係の専門家で言えば森元首相鈴木宗男さんがいるわけです。後者はまあ人相が悪いから仕方ない、笑 でも森元首相は失言も多いですが外交の現場についてはプロの意見として尊重して聞いても良いんじゃ無いですかね?(尚、人間としては私は彼は好きではありません)


ここまで少し「左側」の人達を叩きすぎたので別の例を出しますが山本太郎さんの意見を聞いてみても良いと思います。岩上安身さんもいますし、再度右を見ればチャンネル桜の水島社長や藤井聡さんも日本のウクライナ支援に疑問を呈しています。


振り返れば橋下徹さんが侵攻当初に「早く降伏をした方が良い」と発言し総叩きにあったわけですが強制的に徴兵され自国の為に戦わされるとのどちらが良かったのか一度検証する必要があります。


橋下徹さんは日頃の言動から中々発言が受け入れられないかも知れません。私も彼は嫌いです、笑
では別の人たちと言えば広島の反戦団体がこのような事を言っています。是非一度読んでみてください。私は彼等の意見にほぼ賛成です。
https://globe.asahi.com/article/14842713

 

ところで日頃は被爆者を散々持ち上げているマスコミが今回あまり彼等の意見を取り上げないのは何なんでしょうか? ここまでもう十分に長くなったので別の機会に仮説・検証(と言うほど大袈裟な物ではありませんが)を立ててみたいです。


繰り返しになってしまいますが「悪魔の狂人プーチンが美しい世界を破壊した」というフィクションが何故彼等にとって重要なのか、佐藤優さんがNHKに出ただけで「両論併記も許さねぇ」と憤るのか、もう少し考えたいと思います。


既に書いた事で申し訳ありませんが「支援を出すのが日本の国益に沿う」というロジックが成立しなくなるというのが一番大きいでしょう。日本の視聴者が「でも国内の生活も大変だし日本自身にその1兆円を超える金額を使いたい」と言うのを封じる為です。でもその先にもっと恐ろしい考えがあるのでは無いでしょうか?


ウクライナが即時停戦したらロシアが約束を守るとは限らない、ウクライナ国民はロシアを信用していない」「早期に降伏したらまた虐殺にあうぞ」というロジックがここで出てきます。


また相対化させていただきますが(彼等は相対化そのものを嫌がりますね)、そもそも全ての戦争で敵国を信用するという事はほぼ無いのではないでしょうか? 戦争とはそういうものです。相互不信の中でも手探りで少しづつ妥協点を探る作業が停戦だと私は思います。


これが中世以前の騎兵が戦っていた時代なら敵国を信用して「はい、ここで止め」みたいな例が存在するかも知れません。でも今日では多くの日本人が最高の友好国・同盟国と思うアメリカに対する戦時中の我々の感情を見れば戦争の当事者とはどんなものかと分かるかと思います。 


こう書くと「民主主義国家アメリカと権威主義国家のロシアは違う」という反論が来るでしょうが、そのアメリカが原爆投下と大空襲で民間人をブチャの虐殺より遥かに多く殺害し、戦後も数十万件以上の日本人婦女暴行があり、その為に進駐軍用の売春施設まで出来た事を考えれば何がどう違うのかよく分からなくなります。


これは事更にアメリカが酷い国だと言いたいのではなく戦争とはそういうもので、だからこそ早く終わらせればならないと言う話が私の企図する所です。
要はどの手段が最も人命を失わせずに済むかという話です。


停戦した所でロシア軍による戦争犯罪はあるでしょう。必ずあるに決まっていると私は思います。
何故ならば、2015年ですら国連平和維持活動部隊とフランス軍により戦争犯罪があったわけですから。それより軍規が緩いであろうロシアがやらないわけがありません。
https://www.afpbb.com/articles/-/3082559?cx_amp=all&act=all&_gl=1*hc9bkq*_ga*RXFhS0xxUzhqMF9yTUdDRHFsLVg1SlBiWUNVWjZDUDdlR3Q4aUtkWTZvS05Fc1VFRklpbDc4Tzd2NmNyVkVpYQ..*_ga_E7KXCKSWLG*MTcwNjk0NjQwNC4yLjAuMTcwNjk0NjQyNy4wLjAuMA..

 

でも「戦争犯罪がゼロという保証が無いなら徹底抗戦しかない」は極論じゃ無いですかね?

徹底抗戦はどこまでやるのでしょうか?


ウクライナがモスクワを陥落させるまで? −不可能でしょう。
プーチンが死ぬまで? −死んだ所でロシアが変わる保証はありません。もっと酷くなる可能性すらあります。
ロシアが諦めるまで? −それはいつですか??? それはもう停戦よりも見通しが甘くありませんか?


これはロシアの戦争犯罪を肯定する意図ではなく論点をウクライナ人の犠牲者の多寡について論じた場合に市民が火炎瓶やら毒のスープでロシア兵を殺して抵抗するのと交渉して停戦のどちらの方が死者が少ないでしょうか? そこは冷徹な比較衡量の世界です。

 

小泉さんは「侵略者にペナルティを払わせる世界にしないといけない」と言います。
でもそれこそ我々が決める話なんですかね?
加えてイラク戦争のペナルティをアメリカがいつ払ったか分からないという話を私だけでなく所謂グローバルサウスの多くの人々は思うでしょう。


冷酷な現実としてペナルティを払わせるにもコストが掛かるわけです。そのコストはウクライナ兵の人命と支援する国の財政です。「ロシアを損させる為ならどんな犠牲を払っても良い」って本末転倒じゃないですかね? 「どうやったらウクライナ人の犠牲者が少なくて済むか」「何が日本の国益に資するか」という話が一義的に来るべきであって、「あいつは悪い奴だからどんだけコストが掛かっても懲らしめてやらんと気が済まん」はちょっと違うと思うんですよね。もちろん、その懲らしめる行為が結果として日本の国益ウクライナ人の人命尊重に繋がるならともかく、既に書いたようにそれを結びつけるのは少し無理筋でしょう。


ウクライナ人がどれだけ亡くなってもロシアにはペナルティを払わせないといけない」と考えているとしたらそれこそ「悪魔のように恐ろしい」思想だと私は思います。


話がグルグルとループしてしまい申し訳ありませんが、「ロシアは約束を守らないから徹底抗戦しないといけない」は少しおかしいんじゃないかと思うのは以上に書いた理由からです。


こう書くと「いつ停戦するかはウクライナが決める事であって外野が口を出す事では無い」と言われます。
御説御尤も。同時に日本がどこまで肩入れするか、何を出すかは外国が決める事では無いとなるでしょう。


ウクライナ政府がどれだけ懸命に戦おうが日本は日本の国益で判断するという話であり、小泉さんの「義侠心ではない」には賛同しますし、更に付け加えて、どこがどう国益に資するのか「フワッとした話」はそろそろ止めにしませんか?という話なのです。


トランプ再選のリスクがあるならば様子見をすれば良いじゃ無いですか? 日本は実質的にアメリカの植民地でチェスの駒でしかない、という理屈は私は否定しません。事実でしょう。


だったら駒は駒なりに自分が得するように行動するべきだし米大統領選が終わった後におもむろに「殿! 如何致しましょう? 下知を賜りたく」で応じれば良いわけであって飼い主が変わるかも知れない時に先走って行動するのは駒という立場を弁えろという前提と矛盾しませんかね?